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「それ、いつの話?」
「……先月、です」
「美子、結婚したかったのか? だって……」
真さんが言葉を止めた。彼の言いたいことはわかる。婚約者がいたことを知ってたら、引っかかって当然だもの。
「したかったというか……しなきゃと思ったというか……」
そもそもあれは知らずに足を踏み入れたサクラのバイトだった。でもこれを話すのもまた余計なことな気がしてくる。
「いい人はいましたか?」
「え?」
「木村さん、感じのいい人でしたね。役職もしっかりされているようでしたし」
「そうですね。私にはもったいない人ばかりでした」
「おまたせいたしました!」
店員さんが、大きなグラスに入った真さんのレモネードと、私のアサイースムージーを持ってきてくれ、目の前に並べてくれる。
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