8 弱さも

16/32
3100人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「それ、いつの話?」 「……先月、です」 「美子、結婚したかったのか? だって……」 真さんが言葉を止めた。彼の言いたいことはわかる。婚約者がいたことを知ってたら、引っかかって当然だもの。 「したかったというか……しなきゃと思ったというか……」 そもそもあれは知らずに足を踏み入れたサクラのバイトだった。でもこれを話すのもまた余計なことな気がしてくる。 「いい人はいましたか?」 「え?」 「木村さん、感じのいい人でしたね。役職もしっかりされているようでしたし」 「そうですね。私にはもったいない人ばかりでした」 「おまたせいたしました!」 店員さんが、大きなグラスに入った真さんのレモネードと、私のアサイースムージーを持ってきてくれ、目の前に並べてくれる。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!