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…………。
アイテガダレデモイイナラボクガモライマスヨ?
相手が、誰でもいいなら、僕が、もらいますよ?
それって……。
「ああ。ひとつ言っておくけど、僕の相手は誰でもいいわけじゃありません。美子さえ良ければ、そんな選択肢もあるから。考えてみてくれる?」
“美子は櫻井旅館のご息女だ”
あのときの真さんの言葉が、私に警告するかのように頭の中を流れていく。
私は構わずそれをはたき落とした。
「はは。そうしたら、文字通り永久就職になっちゃうわけですけど」
「喜んで」
「…………えっ?」
「喜んで、お受けします。私、真さんと、これからも一緒にいたいです」
「…………」
私の勢いに圧倒されてしまったのか、予想外の返答だったのか、真さんは無言のまま2度瞬きをした。
「お待たせしましたー!」
快活な店員さんが、メニュー写真通りのおしゃれパンケーキを運んできてくれた。
でも、真さんのスマートフォンが鳴ったのはそのあとすぐだった。真さんはパンケーキを一口食べると、急用だと言って本当に申し訳無さそうにその場をあとにした。
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