8 弱さも

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「ひとり?」 私のとなりの空席には、氷が溶けて薄くなった、グラス8割ほどのレモネードが残されていた。 麗華はそこに、ためらいなく座った。 麗華はどうして、何事もなかったかのように私に話しかけられるのだろう。 どうしたら、こんな…… 胃がキリキリと痛んでいく。 「良かった、会えて。私ね、美子に言わなきゃいけないことがあったのよ」 「……」 今更貴仁とのことを謝られたところでなにもならない。 関わらないでいてくれるのが1番いいのに。 けれど、麗華から出てくる言葉を確信していた私は、耳を疑うことなる。 そう、麗華が潔く謝るだなんて、今更そんなはずがなかったのだ。 「私ね、綿矢常務と婚約していたの」 「……………………え?」 思わず、見たくもない顔を見上げてしまった。 勝ち誇った笑みが、私を見下ろしていた。
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