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あんまり遅くまでふたりきりだと真が嫉妬するかも、なんて、有りえないことを言った葵さんが帰宅して、私がお風呂を済ませても真さんは帰らなかった。本当は先に寝ているべきだったのだと思う。
それでも、どうしても昼間の話の続きをしたくて、リビングで晴さんに借りた漫画を読んで彼を待った。
だって、真さんが私と結婚?
そんなの、私の妄想か夢じゃないかと思えてくる。
でも……同時に、弱気な私が声を上げる。
もしも、麗華との一夜の話が本当だったら?
私は今まで通り真さんと一緒にいられるの?
聞かないほうがいいことだってある。
でも、この心の靄を一生背負うことはできる気がしなかった。
玄関の開く音がしたのは、0時を回った頃だった。
いざとなると何から話せばいいのかわからずに身構えたけれど、いっこうにリビングドアは開かないし、足音さえしない。
「真さん……?」
恐る恐るリビングドアを開けて玄関の方を見ると、真さんは座り込んで壁にもたれていた。
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