8 弱さも

27/32
前へ
/315ページ
次へ
 あんまり遅くまでふたりきりだと真が嫉妬するかも、なんて、有りえないことを言った葵さんが帰宅して、私がお風呂を済ませても真さんは帰らなかった。本当は先に寝ているべきだったのだと思う。 それでも、どうしても昼間の話の続きをしたくて、リビングで晴さんに借りた漫画を読んで彼を待った。 だって、真さんが私と結婚? そんなの、私の妄想か夢じゃないかと思えてくる。 でも……同時に、弱気な私が声を上げる。 もしも、麗華との一夜の話が本当だったら? 私は今まで通り真さんと一緒にいられるの? 聞かないほうがいいことだってある。 でも、この心の靄を一生背負うことはできる気がしなかった。  玄関の開く音がしたのは、0時を回った頃だった。 いざとなると何から話せばいいのかわからずに身構えたけれど、いっこうにリビングドアは開かないし、足音さえしない。 「真さん……?」 恐る恐るリビングドアを開けて玄関の方を見ると、真さんは座り込んで壁にもたれていた。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3084人が本棚に入れています
本棚に追加