62人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「国を出るだと!? この恩知らずがっ」
「そうよ! あなたは黙って今まで通り、結界を維持してればいいのよ!」
「わたしはもう、聖女じゃありませんから」
そう言った瞬間、言い募っていた大神官や新たな聖女が青ざめた。その様子に、アガタを馬鹿にしていた面々が戸惑う。
今までなら残るよう言われたら、むしろありがたく思って頷いただろうが――前世の記憶が戻った今となっては、頷く理由も義理もない。もう故郷に両親はいないが、逆に心置きなくこの国を出ていける。
最初のコメントを投稿しよう!