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家の中に自分の居場所はありますか?
はい。自室だけが心休まる場所です。
そんな訳で予定の無い休日は完全な引きこもりになる。
だが自室を警備していると、鉄壁の警備を軽々と突破してくる連中が居る。
前山秋輝と氷見明菜。幼馴染で腐れ縁で、宇原家の両親がアカンことを理解している数少ない友人。他に友人が居ないから知られてないだけ? 何を分けのわからないことを。
「白岩さんってどんな人?」
白岩さんとお友達な明菜と秋輝に、彼女の印象を改めて聞いてみようと思った。
「佳穂ちゃん? どしたの急に?」
明菜が呼んでいた漫画から顔を上げる。先週また中学生に間違えられてキレ散らかしていたちびっ子が、珍しいものを見る目でこっちを見ている。
「たまに一緒になるけど、あんま知らないと思って」
「まずはテルに聞いてみよう」
ほいと明菜が回答ターンを譲る。
「Venus」
難しい顔で据え置きハードの落ち物パズルをやっていた秋輝が即答してきた。良い発音でイラつく。
「日本語で頼む」
「女神」
画面に集中しながら、単語しか返さない男。追い出してやろうか。
「主観が強すぎて参考にならん」
「だねー」
「んで、実際どんな人?」
「真面目で面倒見が良くて。お姉ちゃんが居たらこんな感じかなーみたいな」
子供から見たらますますそういう印象になるか。
「おい」
「何だよ。ガラ悪いな、JK」
「今更機嫌取ったって遅いし。失礼なこと思ったよね」
どこに機嫌取る要素があったのか。まあ取れたならいいか。
「失礼? 気のせいだろ」
適当に返事をして、追求される前に言葉を続けておく。
「人をからかって喜んだりする事ある?」
「それは……いいな!」
「あれは放っておいて。まあ、そういう事はしないかな。何かあった?」
「いや、冗談みたいな話を聞いたんだけど。別の人っぽいわ。忘れてくれ」
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