ワン・サマー・ガール 〜ドブ子さんがドブにハマっていた理由〜

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 救出した女性は俺より少し年上に見えた。高校では見覚えがないから、大学生か社会人だろう。 「ありがとう。一生ドブにハマってるかと思った」  いくら田舎とはいえ、さすがに大げさだろう。ただ、夏休みだし暗くなったら朝まで発見されない可能性はあるから、そういう意味では確かに恩人かもしれない。 「ケガもないようでなによりです。じゃ、これで……」 「待って。なにかお礼をさせて」 「でも、びしょ濡れだし」  彼女の黄色い花柄のワンピースはぐっしょり濡れており、心なしか模様の花もしおれているように見えた。  うつむいたひまわりみたいに元気のなかった女性は、指摘されて急に気持ち悪さを思い出したのか猛烈に駆け出していった。 「絶対今度お礼するから!」  連絡先交換すらしていないのにどうやって? 遠ざかるワンピースを見つめながら、俺はぼんやり思ったのだった。
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