ワン・サマー・ガール 〜ドブ子さんがドブにハマっていた理由〜

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 次のデートは水族館で、俺たちは薄暗い館内を手をつないで進んだ。ドブ子さんの手は柔らかいが、少し冷たい。男の方が体温が高いんだよと教えてくれた。 「やっぱりデートといえば水族館だよね。女の子はみんな好きだから覚えておくといいよ」  二回もデートをしていながら、そういえばドブ子さんは俺の彼女ではないのだと急に思い出した。  別にドブ子さんのことが特別好きというわけじゃなかったけれど、モテないからか男特有の独占欲からか俺は探りを入れた。 「次の彼氏のアテってあるのか?」 「んー……今はないかな? あ、もしかして立候補してくれるの?」 「そんなんじゃないし!」 「うそうそジョーダン! 高校生じゃねぇ」  子供扱いされたのがなんだか無性に悔しくて、「3つしか離れてないだろ」と反論した。ドブ子さんはニコニコしながら「三年後にいい男になってたら考えてあげる」なんて上から目線で返した。  三年後はお互いどうなっているかなんてわからないし、俺だってちゃんとした彼女ができているかもしれない。そんなことを思いながら、俺はドブ子さんとデートを続けた。相性が良いのかお互い本物の恋人じゃないという気楽さのためか、仮の交際は楽しく続いた。  ……ただ、浮かれていたら必ず足をとられるのが現実だ。
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