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 昼食後はそのまま応接室で三対五での集団面接。志望動機や経歴などのよくある内容をさらっとこなし、残るは五人から社員に向けての質問時間である。交通手段や社内の男女比などの当たり障りのない質問が行き交う中、Aが挙手して質問をした。 「宝石を中に入れる理由は何ですか?」  一瞬にして場の空気が凍り付いた。  社員も四人も焦って目配せをするが、社長は口元に笑みを浮かべたまま頷くだけ。そして、スッと立ち上がりAの前に立つ。 「君はキレイだ。もうすぐわかる」 そう呟いた社長は、社員に二、三耳打ちをして部屋を出て行った。指示を受けた社員は四人を別室に誘導した後、Aに「君はここに残りなさい」と言い残し部屋を出て行く。 突然のことに動揺を隠せないAを一人残して、社で唯一の黒いドアの鍵が閉められた。
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