トワイライト・キャット

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トワイライト・キャット

ある日の夕方恋人のヒロシがアパートの前で男といちゃつきながら、部屋に入っていくのを、アケミは見かけた。 アケミは勢いよく階段を駆け上がり、ドアを開けた。  「ヒロシっ。普通の友達には見えなかったけど、よりによって男ってなに?」  「え?」  キョトンとするヒロシ以外、部屋の中には誰も居なかった。  「あれ?」  「何だよ?なー。」  ヒロシは飼っている黒猫を抱き上げた。  「男の人と部屋に入っていく様に見えたんだけどなー」  「なにそれ。なー。」  また黒猫をなでた。  「ヒロシ何か隠し事してない?」  「お前こそ、この間女とじゃれあってただろ。」  「何時よ」  「迎えにいった時、窓に人影が見えてたぜー。」  「あれは友達よ。」  「女友達とあんな抱きつき方しないよ、なー。」  「にゃー。」  「そっちこそ何か隠し事してるだろ。」  ヒロシは後ろから黒猫の両手を持ち上げばたばたさせた。  「なー。」  「にゃー。」  アケミははっとした。
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