作家、堂々院無皿雄は天才が故に

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 しかし、それほどの才能を持つ堂々院自身の情報は、全くと言っていいほど上がらない。  年齢、性別、国籍、既婚者か、独身か――。  それすらも公表されていない状況で、各メディアもなんとか写真、もしくは肉声を手に入れたいと思っているが、何度出版社を通じて連絡を取ろうとしても、けんもほろろに追い返されてしまうのだ。 「くっそー! 堂々院先生は、一体どんな人物なんだ!!」 これまでに新聞社、週刊誌、ゴシップ紙、パパラッチ、YouTuber、変質者、等々が軒を連ねて訪ねたものの、文豪、堂々院の尻尾を掴める者などどこにも居ない。  あまりの多彩さに、ゴーストライターを疑われたが、それに関して堂々院本人から直筆の手紙で『代筆を噂されるなど遺憾である』というメッセージが上がってしまい、日経平均株価は大暴落。世界中のファンから『堂々院先生の名に泥を塗る場合は命は無いと思え』と言う意味合いの心暖まるメッセージがありとあらゆる言語で送られてきた。  どんなに調べようにもまるで姿の見えない作家、堂々院無皿雄。  まるでそう、出版業界全体が、『堂々院無皿雄』そのものを秘匿とする、秘密結社のようであった。
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