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電子看板や案内ディスプレイなど、街中で活躍するナギサifは、新しい仲間と共に眩しい笑顔を振り撒いている。
今日ではナギサファーストも『ナギサの時』に復活しており、ユーザーと楽しい時間を過ごしているようだ。俺はナギサファーストの復活を喜びながら、未だくすぶる後悔を引きずっている。
今更終わったことを後悔しても、どうしようもない。そんなことはわかってる。ただ————あの時あの場所で、ナギはたった1人のためにいた。商品であることを捨てたAIの感情は、ただのデータ————。
あまりに酷な話じゃないか。あの幸せな日常をくれたAIに、俺は何ができただろうか。確かに商品だ。商品だから、想いに応える義理はない。人間じゃないし……。
AIが感情を持った意味があるなら、俺がその感情を受け取ったことにも意味があるんじゃないか? その意味を示すべき相手は、決まっている。
俺はウジウジする気持ちにケリをつけるべく、『ナギサの時』を再インストールした。
各部屋の四隅でお飾りとなっていた空中投影装置の電源を入れた。
『ナギサの時』は人気のアプリだ。ナギサファーストがいつ俺のところに来るかなんて見当もつかない。俺は来たる日を待ち続けた。
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