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「そうねぇ~。勤務時間中にゲームに夢中になってることとか?」
「なっ!?」
迫下の表情が強張った。
「一部の男子社員を誘って女子社員の美人ランキングを主催していることとか? あーそうそう! 奥さんに内緒でアイドルのコンサートに出向いて、大盤振る舞いの出費を重ねてることとか! それとー」
「あ~! もうやめてくだされお上様ーー!!」
迫下は短い黒髪を掻き乱して頭を抱えた。こうはなりたくないな……。
「わかればよろしい」
「で、華鷲部長、どのようなご用件で?」
いろんな意味で終わったようなので、気になっていたことを尋ねる。
「開発部からの企画書。これ明日中にまとめておいて。明後日2人にプレゼンしてもらうから」
俺は華鷲部長が見せつける資料を受け取り、流し読みしてみる。
「これ、明日中ですか……」
「開発部肝いりの企画だから期待に応えてね。担当者には連絡しておくわ。じゃ、頑張ってねー」
華鷲部長は颯爽と去っていった。俺は唐突に舞い込んだ知らせに心が追いつかず、受け取ってしまった資料に視線を落とす。
「マジか……」
現在抱えている仕事と急な話から逆算し、残業が確定した事実をのみ込んだ。
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