今夜、あの子と

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もしかしたら、悪い奴に脅されて、  金か……それ以上のものでも、 要求されて、助けを求めているのかもしれない。  そこを颯爽と現れて、ピンチを助けて お礼にと、お弁当を作ってもらったりして いくうちに、仲良くなって、 あわよくば、恋人に……と 頭の中で、都合のいいストーリーが浮かんだ。 「まあ、本当に、ヤバかったら警察、呼ぶけどな」  ポケットの中のスマホを確認しながら  黒い影をつけることにした。 学校につくと 黒森は防犯会社が取り付けた 暗証番号式のカギを慣れた手つきで解除した。 そして、周りを確認すると そっと入っていく。 後をつけるが、 背中がぞくぞくする。 楽しみではなく、 恐怖からだ。 男でも暗い所や、 幽霊が怖い人間もいる。 ………ここに。 黒森は慣れているのか、 足音を立てないように すーと歩いて行く。 階段もあまり足音がしない。 何か、訓練でもしているのかと思うくらい スーッと動いていく。
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