今夜、あの子と

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これでは、まるで……。 オレが考えるまでもなく 黒森の声が正解を教えてくれた。 「今宵、われは黒魔術により  悪魔に魂を捧げます」  黒森の澄んだ声は  いつもは癒しを与えるが、 発した内容に  逆に怖さが増した。  なんだって黒森はこんなことを?  ヤバい奴に弱みでも握られて  いやらしい要求でもされている  という妄想は完璧に打ち砕かれた。 「この先に、どんな辛いことがあっても  みんなが、希望を失わず、  明るい未来を信じて  人生を力強く  歩いていけますように」 「?」  悪魔を呼び出して、  願うことが、世界平和かと言いたくなる 内容で、何の冗談だと思った。 「私の前世で傷つけた人たちが  この学校にはたくさんいます。  どうか、私の命を差し上げるかわりに  みんなが幸せになるように  してください」    何なんだ?  女子の会話で前世占いというものを 聞いたことがある。  それを信じ切っているのか? 「あと、一番、ひどい殺し方、 縛って、苦しめて、いたぶって 殺して、裸で、広場に放置した  前世の白木 海斗くんは  とくにお願いします」 「はあ!」
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