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「嘘をついても、ろくなことがないよ」
おふくろからずっと言われてきた。
やっぱり、本当のことを言おう。
うまくすれば、冗談だったで済むかもしれない。
そう思って、実は、どっきりでしたという感じで出ようと
して、黒森のほうを見て体が動かなくなった。
黒森は、オレが悩んでいる間に
服を脱いで、一糸まとわぬ姿となっていた。
オレはすぐに視線を壁のほうに向けた。
「な…何をしている」
「何って、私の命と引き換えです。
ですから、食べやすいようにと思って」
言えない。言えるわけない。
不可抗力とはいえ、全裸の女の子を見たのだ。
冗談でしたでは済まない状況に陥った。
「あの……悪魔様」
「我はまだ、契約するとは言ってないぞ」
「あ。そうでした。では、どうすれば?」
「我が、命令を与える。それを守れば、
かなえてやろう」
オレは、最後まで悪魔を演じることを決めた。
「わかりました。では、何を?」
多分、黒森は完全に信じている。
もし、いたずら半分で、いやらしい命令をしても、
あの調子では、断らずに、受けてしまうだろう。
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