今夜、あの子と

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ほおっては置けない。  この先、オレと同じように黒森の交霊術をみて、  悪さをするやつがあらわれないとも限らない。 だから、そのために、真実を隠し通す覚悟を決めた。 「では、服を着ろ」 「?」  黒森は首をかしげたが、素直に服を着たらしい。  衣擦れの音がする。  言っておくが、最初の一瞬以外、黒森のほうは向いていない。 「着ました」  黒森の声が聴こえてほっとする。 「何をすればいいのでしょう」 「では、われのために祈れ」 「はい」  この日は黒森が  「来月の同じ日にお待ちしています」  と言って交霊術は終わりになった。  黒森は交霊術の道具を片し始める。  それを確認してオレは音を立てないように 階段を下りていく。  まずいことになったと思いながらも、  黒森との秘密のつながりににやけてしまう。  相手は自分のことを知らないが  信じている。  そして、祈りの次は、クラスのみんなに優しくする、  掃除をしっかり、勉強を見てあげるなど、  黒森が普段からしていることを悪魔として命令していた。  嘘をつく時間が長くなれば、長くなるほど  真実は言いづらい。
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