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それからほどなくして母船からのシャトルが到着し、私はこの小惑星から抜け出せたが、しばらくはあの猿型ロボットたちが不憫でしょうがなく思えて、なんとも煮え切らない感情に苛まれてしまった。自らも猿のマスクをしているから、この者たちは私を受け入れたのか。それとも私自身がシンパシーを感じてしまったのか。私自身のDNAに刻まれたその運命と、猿型のロボットたちがプログラミングされた命令を重ね合わせて見てしまったのだろうか。
私はパブロフ1号にコルネリアの名を継ぐ者の居場所を調べてもらい、たった一言を言うためだけにしばらくシュタンツ学園の皆とは別行動をとった。
やっとコルネリアのもとにたどりついた私は、さっそくその一言を伝える。
「あのロボットたちに、せめてひとときの休息を。」
その深いシワの刻まれた老婆は、はじめ少しだけ悲しそうな表情を浮かべたのだけど、私の猿面のマスクをじっくりとながめたあと、満面の笑みを浮かべながらただ、ええとだけ返事をしたのだ。
ふとその老婆の笑顔が、あの猿型ロボットたちの笑顔に重なった。
いったんおわり
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