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Encounter ― 邂逅
初めて参加した、スタディキャンプ最終日。リリカさん、と名を呼ばれ、『初参加でがんばったで賞』という、なんだかよくわからない賞をもらうためにステージに上がったとき、半泣きで駆け寄ってくる老婦人がいた。近寄ってきた彼女は、私をぎゅっと抱きしめた。驚いたけれど、なぜか全然嫌じゃなくて、逆に一気に懐かしい気持ちになった。
ねえ、あなた、もしかして、ねえ…!!
後は言葉にならない老婦人と、その背をそっと撫でて宥める老紳士。
彼の視線が私の顔に留まり、そして―。
「ああ、ねえ、君、君のお母さん、お母さんは、どんな人? 素敵なお嬢さんのお母さんも、きっと、素敵な女性だろうね?」
「母は、私を愛してくれる、生物学の研究者です。名前は、ええと、よその人には、言っちゃいけないの。秘密なの」
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