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First Generation Again
娘・ミルカが行方不明との報告を受けて、もう10年が経ってしまった。
あれから、何もやる気が起きない。私も夫も、抜け殻になった。ああ、あのときどうして置いてきてしまったんだろうー? 後悔ばかりが胸に去来する。
だけど、嘆いてばかりもいられない。ついにある夏、5~10歳の子のための、スタディキャンプに、遺伝子学の講師として出席することを決めた。
参加者名簿の写真を眺めるうち、ふと、5歳くらいの少女に目が留まった。私に、似ている―?
そう思って、キャンプ中、意識して見ていると、彼女の活躍が目につくようになった。幼いのに堂々として、発想がユニークで、発表もはきはきとして、華がある。容姿はまったく異なるけれど、幼いころの娘を見ているよう。
は―。リリカ? 思わず息を呑んだ。それは、あの子が常々、将来お母さんになったら自分の娘に付けると言っていた名だった。まさか、いえ、でも―。
「ねえあなた! 見て! この子!」
あの人も、私の説明ですぐにわかったらしい。そうだ、あの子に、私たちの愛娘を髣髴とさせる。
「この子、そうだ、君に似ている。そしてこの耳の形、あの子にそっくりだ」
どういうこと? どういうことなの? 動悸が収まらない―。
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