隠し子と隠しごとの間に

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 寿春と彩が亜季の元に駆け寄る。 「ボロボロじゃねえか。先生、治療を…」 「あらあら、本当に優しいのねあなた。そんな尻軽に入れ込んだらまた…」 「もうふざけた真似はさせねえ。千春も一緒に大事にするから安心しろ。な」 「寿春、寿春ぅ…」  抱き合う2人。そのまま亜季の両肩を寿春と彩で抱え、クリニックに治療のため戻った。歩きながら亜季は、 「彩、ありがと。でもあなたも隠しごとしてるでしょ」 「ん?あ、あれか」 「そう。DNA検査なんていつしたのよ」  寿春がギョッとして彩を見る。 「な…嘘ついたのか!ったくどいつもこいつも…じゃ千春はやっぱり」 「ああそれはね、間違いない。検査なんかしなくても、私の霊的直感が間違いなくあなたの子だって言ってる」 「あてにならねえなおい!」 「大丈夫よ寿春、彩の霊感は本物なの。可愛いでしょ?千春」 「ま、それは確かに…ああ早く迎えに行かねえとな。彩先生、5分で治療しろ。いいな」 「はいはい、5分で貼れるバンドエイドが…」 「あんた本当に医者かーー!」  何はともあれ寿春と亜季、そして千春は、この3年間に埋まらなかったピースが揃ったような毎日を…これから過ごせそうな気配であった。 「当然!霊障ならこのドクター最高にお任せあれ!」
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