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閉幕
ーー深夜
パチパチと燃えていた暖炉の炎が、こんなにもロッジ全体を轟々と赤く燃え上がらせていてーー
ーーああ、なんて綺麗。
これだけ炎の勢いが強ければ殺人の証拠は残らない。
どうして五人を手にかけたかなんて、そんなこと、神に吐露したところで何の懺悔にもならないわ。
峰岸さんが「犯人はこの中にいる」と言い出した時は、少しヒヤリとして、怖かった。
名指しで言い当てられたり、あのまま三人でお互いを監視する状態が続いていたら、計画が狂うところだったし、個別に干渉しない行動を選ぶ結果になったから、最後の手間が省けて助かった。
あ、そうそう。
「犯人が何を隠しているかわからない」なんて、間抜けな発言までして。ほんと迷探偵だったわ。
犯人が隠すものなんて決まってるじゃない。全てよ、全て。
ひとたび当局が事件として捜査に乗り出せば、今の時代、鑑識の科学捜査で直接証拠を掴まれて十中八九、捕まるわ。
行方不明、蒸発、事故。
完全犯罪って、世間が事件に気づいてからじゃ、成立させるのは難しいのよ。
犯行が起きたことを気づかせない。
特に、そう。真相を匂わせないことが大切なの。
まぁ、いいか。
もう、終わったことだし。
香。
あなたの鼻では匂わなかったようね。
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