第12話 九歴 師走

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006 【空】がテーマの開拓冒険  次の目的地――と言っても、次は【地】では無い。  宙に浮いているのだ。  それが、【空】がテーマの開拓冒険の目標となっている、【空中庭園スカイフラッグ】だ。  ここも【空中庭園】の中で、最も行きやすい場所である。  ここも、タイミングさえ合えば歩いて行ける【空中庭園】と言われているのだ。  たどり着くためには、最後にジャンプする必要はあるのだが。  【空中庭園スカイフラッグ】も15日しか予定時間が無いので、卯月達は、途中まで、【レンタル飛行艇(ひこうてい)】を使って近道をした。  本来であれば歩いて行けば、いずれたどり着くのだが、15日では日数が足りないための対処だ。  【レンタル飛行艇】でたどり着いた場所からは、三時間ほど山道を進めば、【空中庭園スカイフラッグ】が到着する場所にたどり着く。  登る山は、【コンスタント山脈】と呼ばれる山である。  山道なのに天候が滅多に変わらない事で有名な山なので、天候の異変をほぼ気にせず、進める。  少々、きつい山道だというくらいだ。  途中、モンスターもいるのだが、熟練のクエスト・ガイドの案内でそれなりの経験を積んだ冒険者であれば余裕で倒せるモンスターばかりだ。  その点では難易度は低めに設定されている。  ただ、足場が悪いので下手に戦えば苦戦するというくらいだろうか。  だが、それでも他の冒険を考えれば、余裕をもって行ける場所でもある。  卯月達も十数匹のモンスターには遭遇したが、彼女達の実力を悟ったのか、襲いかからず、全て逃げたので戦闘は一切無かった。  山道を進み、【空中波止場(くうちゅうはとば)】と呼ばれる突き出た岩の場所に着いた。  後は待つだけだ。  【空中庭園スカイフラッグ】はゆっくりと空を移動していて、三日に一度、この【空中波止場】から1メートル手前まで約10分間だけ留まるのだ。  その間に【空中庭園スカイフラッグ】にジャンプして乗れば良いのだ。  タイミングが合えばというのはこのことを指すのだ。  これはあらかじめ情報として得ていたので、ちょうど、到着した日に【空中庭園スカイフラッグ】がたどり着く様にタイミングを合わせて行動していたのだ。  正確に言うと三日と1時間52分34秒に一度のタイミング(5回に1回は閏秒(うるうびょう)が3秒追加となる)でたどり着くらしいが、その辺は誤差の範疇(はんちゅう)だ。  卯月達はしばし、待つ。
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