第12話 九歴 師走

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 霜月は、 「うん。  私も楽しかったよ。  短かったけど、楽しかった。  ありがとうね。  寂しいって言ってくれて。  嬉しかった。  そして、私も寂しいよ。  だけど、これからの事のために前に進まないとね。  だから、私も笑ってお別れする。  じゃあね。  お姉ちゃん達も元気でね」  と言って、ハグに答える。  感情が入っているのか、霜月も泣きそうな感じだった。  だが、無情にも迎えのトラックはやってきた。  とうとう、別れの時が来たのだ。  卯月は泣く泣く、霜月の腰にある起動/停止スイッチを二度押しする。  霜月の時から、この起動/停止スイッチは改良されている。  勝手に起動停止出来ないように、指紋認証を登録してある卯月にしか停止スイッチが押せないのだ。  指紋認証資格の無い者が二度押ししても効果はないのだ。  霜月はカプセルに入れられスタッフが【ネーション・ラボ】に運んでいった。  これで【卯月クエスト・オフィス】で過ごした5体の人造クエスト・ガイド達のデータが国の機関に運ばれ、研究されることになるだろう。  霜月との別れを惜しむ【卯月クエスト・オフィス】の面々。  寂しいが明日から通常営業が始まる。  立ち止まってなど居られないのだ。  翌日、卯月は、人造クエスト・ガイド達が帰ってしまったので何となく呆けていた。  ぼーっとしていたら、突然、X君が、卯月の前にやってきて、 「社長、  社長、  朗報です。  お父さん、やりましたねぇ」  と言って来た。  お父さん?  あぁ、パパの事か……  パパがどうかしたのかしら?  卯月はそう思った。  そして、 「何かあったの?  パパがどうかした?」  と尋ねた。
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