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霜月は、
「うん。
私も楽しかったよ。
短かったけど、楽しかった。
ありがとうね。
寂しいって言ってくれて。
嬉しかった。
そして、私も寂しいよ。
だけど、これからの事のために前に進まないとね。
だから、私も笑ってお別れする。
じゃあね。
お姉ちゃん達も元気でね」
と言って、ハグに答える。
感情が入っているのか、霜月も泣きそうな感じだった。
だが、無情にも迎えのトラックはやってきた。
とうとう、別れの時が来たのだ。
卯月は泣く泣く、霜月の腰にある起動/停止スイッチを二度押しする。
霜月の時から、この起動/停止スイッチは改良されている。
勝手に起動停止出来ないように、指紋認証を登録してある卯月にしか停止スイッチが押せないのだ。
指紋認証資格の無い者が二度押ししても効果はないのだ。
霜月はカプセルに入れられスタッフが【ネーション・ラボ】に運んでいった。
これで【卯月クエスト・オフィス】で過ごした5体の人造クエスト・ガイド達のデータが国の機関に運ばれ、研究されることになるだろう。
霜月との別れを惜しむ【卯月クエスト・オフィス】の面々。
寂しいが明日から通常営業が始まる。
立ち止まってなど居られないのだ。
翌日、卯月は、人造クエスト・ガイド達が帰ってしまったので何となく呆けていた。
ぼーっとしていたら、突然、X君が、卯月の前にやってきて、
「社長、
社長、
朗報です。
お父さん、やりましたねぇ」
と言って来た。
お父さん?
あぁ、パパの事か……
パパがどうかしたのかしら?
卯月はそう思った。
そして、
「何かあったの?
パパがどうかした?」
と尋ねた。
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