楽園に明日は来ない

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楽園に明日は来ない

「次のニュースです。教主様から、新しく我らが神の声が届きました」  この世界は、“神様”の力で成り立っている。  だから朝のニュースで、アナウンサーがそんな原稿を読み上げるのはけして珍しいことではない。ただ。 「“我らが世界を照らしてくれる太陽が、長きの働きにより休息を欲しがっている。暫くは夕焼けの世界となってしまうが、太陽の急速のため民はしばしご理解いただきたい”とのこと。どのくらいの期間、この世界の“夕方”が続くのかはまだ発表されておりませんが、太陽の急速が終わるまでは恐らく数年単位の時間がかかるだろうとの見込みで、政府は……」  その日、世界は青空と星空を失った。  私達の町は、永遠に昼と夜の間の世界――長く続く夕方の世界に閉じ込められたのだ。
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