[後]エピソード01

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一瞬父親の顔になったスロだが、その表情は再び険しいのものとなる。 国鉄線に入り(現在のペースで行けば)ものの5分足らずでニニの家の最寄りであるクト北方信号所にたどり着く。 ニニを頼るにはここで止まらねばならない。 一方ニニの手に負えない、つまり魔法療法と相性の悪い病だった場合は、ロックカットかクロップスの総合病院夜間小児科に駆け込む必要がある。 しかし、困ったことにロコからは未だにどちらへ向かうという連絡がない。 当然といえば当然のことである。 ド深夜と言って差し支えないこの時間である。ニニが起きているという保障はどこにもない。 電話感覚で使える"念話"であるが、実態は魔法を使った遠距離会話であるから、呼び掛ける相手が寝てる場合は相当の"声量"で叫ばなければならない。 その声量を担保するのは魔法力であるが、魔女であるニニならいざ知らず、ロコの魔法力では……。 いずれにしても、北方信号所まではあと1500m程。時間的にもあまり余裕はない。
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