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序 いつかの冬
吹き荒ぶ氷雪を全身に受けながら、このまま息絶えるのだと思った。動こうにもちからが入らない。共に行動していた仲間には置いていかれ、その場に縛られ、冥界からの使者を待つしかない……もどかしい状態のまま時間ばかりが過ぎていく。
既に感覚は麻痺しているようで、体温を感じることができない。それでも透き通った蒼き瞳は薄い紫がかった空をキッと睨みつづけていた。意識は朦朧としているにも関わらず。
凍え死ぬ恐怖はなかった。生きたいと強く訴える感情自体、取り残されてたった独りになってしまった時から消えていたのかもしれない。
雪は、無慈悲に降りつづけている。
このまま、いちめんの白に埋もれてしまえればいい。
白はすべてを消し去る色。
そして、すべてを無に戻す色……
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