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「う!」
「美代子、どうした?」
「う! う〜〜……」
「当ったのか!」
「美味い! 美味すぎる!」
恥ずかしい。こんな小学生みたいなヤツと幼馴染なんて恥ずかし過ぎる。もう2度と美代子となんて一緒に食べになんか行かないぞ。
「サーシャさん、ボルシチ2つね〜!」
「は〜い」
俺は美代子とロシア料理を食べに来ていた。まあここなら美代子も常連なので美代子の奇行にも慣れているかもしれない。
「探偵さん、色々ご苦労様でした。これ……」
「え?」
「お約束のズボンです」
「あ」
依頼のお礼としてのズボンの入った紙袋をサーシャさんは俺によこした。ズボンは普通の物だったが、もうひとつ、本が入っていた。
「新作出たのよ」
「真昼野先生の本ですか?」
「ええ。差し上げます」
「いいんですか?」
「もちろんよ。読んであげてね」
「もちろんです!」
ページをめくって驚いた。今作はエロくない。本の帯には「エロ小説家によるエロくないミステリー!」と書いてあった。エロくないのか……。
本のタイトルは「猫とピストル」。
……嫌な予感。
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