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「えっと……。これ、食べていいのかな?」
「え〜、でも河豚って毒があるんじゃ……」
二の足を踏んでいる俺たちの元へ町内会長の息子が近付いてきた。
「毒のある部分はきれいに取ってあるから大丈夫だ。河豚は危ないから資格のある人間しか捌いてはいけないんだ。それをいきなり捌こうなんて、危なすぎだろ!」
息子はお巡りさんを睨みつけた。
「いや、食用にしなきゃ捌いても……」
「もし手に毒が付いてしまってその手を舐めたら死ぬぞ。素人は絶対に手を出すな!」
「そう言うあなたは……」
「東京の老舗河豚料理屋で修行中の板前だ」
反社会的勢力の構成員では無いって事か?
「いや、今度息子がこの町に帰って来て河豚料理屋を始める事になったんですよ。でも資金が少ないもんで国産じゃ無くて中国産を使ってはどうかと、今日試食する事になったんです」
試食会……。
「いやあ美味いですよ! 河豚なんて食べた事無かったけど、美味いもんですね〜」
社長が大喜びで食べていた。
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