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大団円
「で、めでたしめでたしってわけ?」
夜中仕事を放り出した俺はめでたくホテルをクビになった。いや、そっちは全然めでたくは無いが。
「猫たちに大口の里親が見つかったってわけだ」
「野良猫を見たら河豚と思えってわけね」
「そんな所だ。河豚料理屋で町を活性化させるっていう町内会の計画があったそうだ」
「何処にお店出来るの?」
「廃ビルを改装するそうだ」
「インター近いから他の町からもお客さん来そうだね」
事務所でのんびりとコーヒーを飲みながら美代子に事件のあらましを話して聞かせていた。
「そう言えばお巡りさん、そろそろ退職だね」
「うん」
「退職したらもう駐在所には住めないんでしょ?」
「そりゃそうだ」
「どうするんだろう。何処かアパートでも見つけるのかな」
「いや、あの事件で息子とも仲直りしたみたいで退職後は息子と一緒に暮らすみたいだ」
「あのロシア料理屋に?」
「ああ」
親子はあの事件以来再び親交を取り戻した。これは大きな収穫だった。そのお礼に俺の持っている真昼野譲二の本全部にサインをしてもらった。将来金に困ったら高く売ろうと思う。
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