カタルシス

1/1
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

カタルシス

気がつくと ひとり 海原の上の小舟にいた 凪ぐ海と 青い空だけ うれしくなって 水平線へ向かって漕いだ でも漕いでも漕いでも 水平線の向こうへは行けない (さざなみ)はうねりを増している 優しい内海にいたことに 気づかなかった無知な私は 自ら 本当の大海に 彷徨(さまよ)い出てしまった 櫂を握りしめ 笑い 泣きながら 潮に流されるままに漕ぐ 54940c7c-b1d0-42b0-bdcc-16ddea660ee6
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!