第一話 新しい体

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 僕が体重計に乗ると、新宮医師と助手がパソコンの画面を覗き込んだ。 「彼、軽いですね」 「栄養の投与量を見誤ったのでしょう」  助手が言い、新宮医師が推察した。  体重計から降りて、よろける。新宮医師がすかさず支えてくれた。長い髪が重たい。 「素敵なのを付けていますね」  新宮医師の言葉に、一瞬きょとんとした。 「下のレストランで貰ったんです。入院してる女の子に」  思い出して、ポニーテールを持ち上げて見せる。新宮医師は口元を隠し、微笑んだ。 「可愛いですね」  頰がぽっと熱くなった。  助手がパソコンを閉じ、廊下に出ようとする。それを新宮医師が呼び止めた。 「この子たちのことを『彼』と呼ぶのはやめなさい」  彼女の射るような眼差に、助手はハッと息を飲んだ。 「すみません。無意識でした」  新宮医師が目を閉じ、誰にも分らないように小さく溜息をつく。 「私たちが違いを作ってどうするのよ」 「一層気をつけます」 「新宮先生」  二人のやりとりを不思議に見つめていた僕は、投げかけた。 「五つ目って何ですか」 「……何のお話でしたっけ」  僕は腰に手を当てた。
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