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そんなある日、30を迎えた私たちの元に届いたのは1通の手紙。同窓会への招待状だった。
一瞬裕樹の顔が頭に浮かぶが、何をいまさらと自嘲した。それよりも久しぶりに会いたい友だちがたくさんいる。皆元気にしているだろうか。何をしているのかな。私は迷わず「参加」に〇をつけた。
ざわめく会場の中、あちこちで再会を喜び合う声が聞こえて騒がしいくらいだ。
気持ちはわかるけど。
少し苦笑しながら辺りを見渡せば、こちらを手招く集団がいる。
よく遊んでいた子たちだ。懐かしい。
皆それぞれがやっぱり相応に歳は重ねていたけれど、どこかしらに残された面影に、どうしようもなく懐かしさを感じた。同級生が集まれば盛り上がるのは学生時代の話。
盛り上がった文化祭の話、部活動で絶対にひいきされていたエースの話、滑舌が悪くて「キャッチ」が「キャッヒ」になっちゃう英語教師の話。
取り留めない話はいくらでも出てくる。私たちはその度に大きな声で笑いあった。こんなことじゃ自分も人のこと言えないな。笑いすぎて出てしまった涙を拭いながらそんなことを思っていると、不意に友だちのひとりがこう言った
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