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「有紗久しぶり! 元気してたか?」
招かれるまま右手に座る。左手には大吾がいて、相変わらずの仏頂面だ。ちらりと裕樹の左手の薬指に目がいったけど、よく見えない。どうでもいいけど。
「お前卒業してからも全然連絡くれないよな」
拗ねたように裕樹が言った。
「私も忙しかったから」
なんて言ったらいいかわからなくて、それきりきまずい沈黙が流れた。
「そういえばさ、有紗憶えてるか?」
頭を掻きながらしばらく何かを考えていた裕樹は、そんな空気を振り切るように言った。
「前にお前たちと遊園地行ったことあったよな。そのとき最後に見た夕日。憶えているか?」
私はぱっと裕樹の顔を見る。もちろんだ、いまでも夢に見ることだってある。私は裕樹の言葉に耳を傾けた。
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