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「ごめんね、今日は私帰るから」
二次会へと誘う声を振り切って、私は独りで歩いていた。どこへ行くかなんて知らない。適当に歩いてふと横を見れば、人気のない公園があった。ベンチにどかりと座り込む。
もうここなら誰もいない。
そう思ったらやっと、我慢していた涙が零れた。
裕樹にとってあの夕日は、美しいだけの思い出だった。それが私にはどうしようもなく悲しかった。
私はあなたを愛してる愛してる。
いまでもどうしようもなく裕樹のことを愛してた。私はそれに気がつかないように蓋をしていただけだった。そのことに気がついたのだ。
何故いまさら気づいてしまったのだろう。気づきたくなんてなかった。
嗚咽が聞こえる。私はいつのまにか子どもみたいに泣いていた。
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