再会

6/7
前へ
/17ページ
次へ
「ごめんね、今日は私帰るから」  二次会へと誘う声を振り切って、私は独りで歩いていた。どこへ行くかなんて知らない。適当に歩いてふと横を見れば、人気のない公園があった。ベンチにどかりと座り込む。  もうここなら誰もいない。  そう思ったらやっと、我慢していた涙が零れた。  裕樹にとってあの夕日は、美しいだけの思い出だった。それが私にはどうしようもなく悲しかった。  私はあなたを愛してる愛してる。  いまでもどうしようもなく裕樹のことを愛してた。私はそれに気がつかないように蓋をしていただけだった。そのことに気がついたのだ。  何故いまさら気づいてしまったのだろう。気づきたくなんてなかった。  嗚咽が聞こえる。私はいつのまにか子どもみたいに泣いていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加