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「一対一がツラいならさ。誰か誘って皆で行ってみたら?」
するとぱっと、あからさまなくらい満面の笑みで顔を上げてきた。
「俺もそう思う!」
なんだかイヤな予感がする。キラキラとした目でこっちを見ないで。ロクなことがないんだから。
「なぁ有紗、お前あの子と友だちだよな。頼む! なんでも奢るから誘ってくれよ」
手元にはくしゃくしゃになったチケットと新しいチケットが2枚ずつ。某キャラクターが有名なテーマパークの入場チケット。最初は二人で行くつもりだったんだろうな。胸がちくりと痛んだ。
本当はイヤ。
友だちって言ったって、友だちの友だちくらいなもんだし。人混みは嫌いだし。何よりなんで私がこんなことしなきゃなんないの。
でもこいつはチケットがこんなになるまで悩んだんだ。
いまも必死になって頼み込む姿を見ると、私はどうすることもできなかった。
「……わかった。ランチは当然、クレープに、ポップコーン、フランクフルトも奢ってもらうからね。
でも私が誘ってもOKしてくれるかはわかんないんだから」
裕樹の顔がみるみる晴れていく。
「うん、うん! 任せとけ‼
絶対来てくれるよ、信じてるぜ」
嬉しそうな顔。それを見てると私まで嬉しくなってしまう。馬鹿な私。どうしようもないな。
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