遊園地なんて大嫌い

3/5
前へ
/17ページ
次へ
「だって仕方ないじゃない。裕樹はあの子のことが好きなんだから。  あいつは私のこと、一度だって女として見てくれなかった。でもそれでよかったの。あいつの隣にいられたから。  いつまでも続かないことなんてわかってた。きっといつかあいつにも好きな人ができるって。それが私じゃないことも。  だけどそれでよかったの。だって私がこの想いを伝えたら、きっと傍にもいられなくなっちゃう。それはイヤなの!」  この想いを告げれば、いまの関係性を壊してしまうかもしれない。裕樹がいままでみたいに私の傍にいてくれなくなる。それを考えただけで、私は怖くて何もできなくなる。勇気を出して踏み出さなければダメだと言うなら、私には恋なんてできない。  この関係が壊れるのが怖い。  だからいまこの瞬間を大切に生きたいの。  いつの間にか涙が出ていた。私が慌てて涙を拭っている間も、大吾は黙って私の話を聞いていた。  そこへ二人が帰ってきたのが見えた。 「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」  私がそう言ってくるりと駆けだそうとしたとき、背中で大吾の声がした。 「何もしなくても、もうこのままじゃいられないよ」  
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加