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それからどう過ごしたのかはよく憶えていない。せっかく裕樹が奢ってくれたというランチやポップコーンの味も、何のアトラクションに乗ったかも。
あれほど、もしデートに来たらどんなに楽しいだろうと想像していたのにな。
楽しそうに話しながら歩く二人を見る。あの位置は私のものだったのに。
きっとあの二人は付き合って、あの位置はこれからずっとあの子のものになるだろう。
大吾の言葉がリフレインする。
このまま何も言えずに終わるの?
そんなのはイヤだった。
観覧車。私がとっさに裕樹の手を取って乗り込むと、大吾があの子を引き留めてくれたのが見えた。
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