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「だいたい何なの、あのマリエッタとかいう男爵令嬢。あの人にリアが嫌がらせしたですって。よくもあんなでたらめを」
「最近、王太子殿下があの方と親しくしていらっしゃるっていう噂は聞いていたけれど、まさかこんなことになるなんて。それにしてもリアったらびっくりしたわ。いくらショックだったとはいえ、まさかあんな事をするなんて」
ミレディが白いハンカチを目に押し当てながら言った。
「そう? 私はちょっとスッキリしたわよ。殿下のあのぽかんとした間の抜けた顔ったら。まあ、でも確かにやり過ぎといえばやり過ぎよね。この後のことはどうするつもりよ」
顔を覗き込んで尋ねるアンジェリカに、アマーリアは首を傾げた。
「この後って?」
「だから、あの場の勢いとはいえ、あのクルーガーさま……だっけ? に告白めいたことをしたことよ。バカ王太子に一泡吹かせるために言ったんだろうけど、皆の前であんなでたらめ言うなんて。いくら咄嗟のこととはいえ、ちょっとあなたらしくなかったんじゃないの?」
「仕方がないわよ、アンジェ。それだけリアは殿下の裏切りがショックだったのよ」
「え、え? どういうこと?」
アマーリアは目を丸くして親友たちを交互に見た。
「でたらめって? 裏切りがショックって……二人とも何のお話をしてるの」
「何ってあなたと殿下のお話でしょう?」
「いくら何でも、あの場で他の男性に気があるような嘘をつくのはちょっとまずかったんじゃないの?」
「嘘じゃないわ」
アマーリアは毅然として言った。
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