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アマーリアが語った二人の出会いはこうだった。
数ヶ月前。侍女のシェリルと一緒に、乳母への誕生祝いを買いに街へ出かけたアマーリアは自分と同じ年頃の少女が、数人の男たちに絡まれている場面に遭遇した。
どうやら彼女をお茶か、もっとよからぬ社交の場に誘おうとしていたらしい断られた男たちは、断られると突然、態度を豹変させ、
「なんだよ、この不細工が!」
「おまえみたいな女、誰が誘うか。本気にするなよ!」
などと罵り始めた。
周囲には多くの人がいたが、男たちの柄の悪い風貌を恐れてか誰もがみて見ぬふりをしていた。
そこへ割って入ったのがアマーリアだった。
「ああ……想像がつくわ」
アンジェリカがこめかみを押さえて言った。
「リアのことだから思いっきり怒らせるようなこと言ったんでしょ」
「あら。私はただ『女性に対してその態度はあんまりではありませんか? このお嬢さんに謝罪して下さい』と言っただけよ」
「それだけ?」
「ええ。『他の方のことをとやかく言えるご容貌ではないようですけれど? 鏡をご覧になったことがないの?』とも言った気がするけど、本当にそれだけよ」
「十分言ってるじゃないの」
案の定、男たちはいきり立ち、アマーリアがお忍びで庶民風の格好をしていたこともあり、遠慮なく痛めつけようと取り囲んだ。
そこに助けに入ってくれたのが、王都配備の騎士として見回り中だったラルフ・クルーガーだったのだ。
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