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──ルーカス達は徒歩で帰路につき、彼らが活動の拠点としている王都セントラルに着く頃には夜になっていた。
「あー、つっかれたわ……」
「私も久しぶりに長く歩いたから疲れました」
「馬車は楽だが鍛錬にならんのは問題だ」
「そうだね。もう夜だし、みんなは先に帰って休んでて。俺はウロの村の報告と、ライリー君の保護を頼みに行ってくる」
ルーカスはそう言ってライリーを連れて冒険者ギルドに行こうとする。
しかし、アヴァに肩を掴まれて静止された。
「アンタね、さっき気絶してたこと忘れたの!? いくら疲れてても報告くらいしてあげるわよ! アンタこそ先に帰って休みなさいよね!」
「私もそう思います。ルーカスさんはお休みになった方がよろしいかと……」
「そういうことだ。後は任せて寝ておけ」
ルーカスは仲間たちの優しさに感動しつつも、自分が見てしまった最悪の未来を思い出してしまう。
こんなに良い仲間たちを堕落させてなるものか。ルーカスは改めて己にそう誓った。
「みんな……。分かった、それじゃあ休ませてもらうよ。……ああ、それと。後で話したいことがあるから明日の朝に集まってくれるかな」
「分かったわ。さ、行きましょ」
ライリーをアヴァに任せ、ルーカスは拠点として使っている宿屋に向かった。
宿屋ルイン・セントラはルーカスが4人パーティーを組んだ頃から泊まっている宿屋だ。
かれこれ1年ほど部屋を借り続けている。
仕切りがついた大きな4人部屋で、彼らは寝食を共にしていた。
ルーカスはシャワー(水魔法と火魔法の術式が組まれた魔道具。電池のように魔力を充電することで長く使える)で身体を洗う。
鎧を脱いで楽な服に着替え、ベッドに倒れ込む。
実のところ、未来を見て前世の記憶を有したルーカスにはかなりの負荷がかかっており、彼はひどく疲れていた。
目を閉じると、すぐに眠りに誘われたのだった。
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