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アヴァはうーんと唸りながら首を傾げる。
「備えあればウレーナシ? って言うものね。それで、具体的にはどうするのかしら?」
「ああ。少し言いにくいことなんだが……」
「なーによ、水臭いわね。アタシたち仲間でしょ。言ってみなさい」
ルーカスは仲間たちの顔を見る。
3人とも、覚悟はできていた。
そして、ルーカスは告げる。
「パーティーを解散しよう」
静寂。
静まり返った空気を変えたのは料理を運んできたウェイトレスだった。
「料理、お待たせしました〜! ……あれっ、なんか大事な話の途中でしたか。わわわ、ずびばぜーん!」
「ああ、うん、なんかゴメンね。料理、ありがとう」
半泣きになったウェイトレスから料理を受け取り、ルーカスはサンドイッチを食べた。
甘めのコーヒーで流し込む。
「さてと……。詳しく、俺の考えを話そうか。冷めちゃうし、食べながら聞いてくれ」
呆気に取られた仲間たちも、お腹は空いていたので食事を取る。
胃が空だと頭も働かないのだ。
「まず、未来でのパーティー解散の原因はなんだろう? という所を推測した。いろいろと考えられるけど、もしかしたら慢心じゃないかな……って、思ったんだ」
「慢心、ですか」
「俺らは……正直に言って、かなりの実力者だ。助けてきた人や村も覚えきれないほどに多い。最近は安定して生活もできている」
「そうね。駆け出しの頃と比べたら難しい依頼を回されることが多くなったわ」
「だからこそ、1年後に俺たちは慢心して、お互いに不満を持ってしまうのかもしれない」
「力を求め、力に溺れる……か」
「……で、それがどうして今からパーティー解散って話になるのよ」
「慢心しない為に、俺たちは一度離れる必要があると思うんだ。それぞれで修行や旅をして、初心を思い出すこと。それが、今からパーティーを解散する目的になる」
慢心。知性がある者ならば避けては通れない感情であり、通過点でもある。
人が堕落する時はよく七つの大罪を例に用いて説明されるが、ルーカス達にはあまり当てはまらない。
強いて言うならば傲慢と怠惰だろうか。
強さと名声に溺れ、強敵との苦戦による研鑽を怠ることこそがパーティー解散の原因になり得るのだと、ルーカスは考えた。
そしてもう一つ、ルーカスはあえて伏せているが、5人目のパーティーメンバー、ウロの村の生き残りの少年ライリーとその追放に関しても懸念事項である。
これについては、そもそも仲間にしないという選択を取ることで回避できる可能性がある。
まだ成っていない未来の仲間のことは言わない方が良いだろう、との判断だ。
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