追放

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 あのとき以来、周りは陸のことをオニと呼び始めた。  そして、まるで見えない壁ができたように、誰も陸に近付かなくなった。寄ってくるのは、この間のヤンキーみたいなヤツらばっかりだ。  ただそこにいるだけで「生意気だ」とケンカを売られ、気が付けば、毎日のように人を殴っている。  今の陸にとって、人と関わることは誰かを殴ることだった。  本物のオニみてーだよな、と胸の内で呟く。 「まぁ、どうでもいいけど」  そう口に出して、コーラを喉に勢いよく流し込んだ。  炭酸が喉を詰まらせる。
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