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カーテンの隙間から差し込むまぶしい光で目を覚ます。
―7時だ……。
学校に間に合う最終電車の発車時刻は7時25分。
私は身支度を5分で済ませ、母から渡された弁当袋を振り回しながら駅へと走る。これが私の日常だ。
朝の急行電車はいつも満員で朝から気分が下がる。
そんな気分を上げてくれるのは隣のドアから乗ってくる橋田君だ。
視線を送ってもいつも橋田君は私に気づかない。いや、気づかないふりをしているのかもしれない。
学校に着くと橋田君は私のクラスの一つとなりの教室に入っていく。
中学から一緒の割にはそんなに仲がいいわけではない、むしろ少し距離ができているように感じる。
でも、部活が始まればマネージャーと選手としての交流はあった。
部活後はみんなで駅まで歩いて帰るのが日常だ。駅に着けばそれぞれ改札をくぐって別々のホームへ行く。下り方面は私と橋田君だけだ。
初めのうちは気まずくてわざと違う帰り方をしたこともあったが、
「方面こっちじゃないの?」
橋田君の一言がきっかけでいつのまにか一緒に帰るようになった。
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