17人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
新社長就任の喜びも束の間、描いた報酬は目の前で消え去り落胆する相模。
「さぁ、大金も入った事だし今日はもう事務所閉めて昼間からパーッと行きましょう」
涼子の異常なテンションの訳が分からない相模は大きなため息を吐く中、彼女は手にした携帯画面を差し出した。
本日付けで送金記録となる現金三千万円の額面。
「えっ……」
「ホステスさん三名の移籍中間マージン入金完了っ。社長も夜なよな馬鹿みたいに飲み歩いている訳じゃないんだよぉ、おっさん」
間社長は、ここ数日裏稼業の組織と交渉を重ね、未成年の頃から店に立たせていた三名のホステスを救うべく実際に行動していた。彼女達を日の当たる世界へと戻すことを目的としていたが、本人たちの強い要望により安心できる店で雇い入れ出来るように根回しをしていたのだった。そして、四人の人妻は皆サクラ。
「ハァ……、全く参りましたよ」
「えらく素直じゃないか、ハハハッ」
「間社長、いやっ、間会長、一つだけ教えてください」
相模はそう告げ、新社長として動き始める中、従業員である涼子との関係を問いかけた。
「気になるか? ワシの年の離れた弟の息子、甥っこ涼介じゃ」
「涼介? お・と・こ……、涼子?
男っ! ええええええっ!!!!!」
― END ―
最初のコメントを投稿しよう!