探し人

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 狭い室内に用意された不揃いの椅子へと腰掛ける七人の依頼人達。  彼女達の前に現れた相模は、微笑みながら調査依頼の結果を報告する。 「お待たせ致しました。 ご依頼の探し人、消息を掴むことが出来ました。 早速ですが、成功報酬はお一人当たり五十万円頂きたく存じます」  女性達の驚きの声が事務所に響く。 「ちょ、ちょっと相模さんっ! 五十万円なんて、それに、消息を掴んだって一体」  涼子が放つ驚きの言葉に、相模は微笑みを浮かべる。 「心配はいらない。 何故なら、事前着手金、そう前金の一人当たり十万円の現金も、今日お支払い頂く五十万円も皆様方のお金じゃない」  意味不明な言葉に涼子は言葉を失っていた。 「昼と夜の二つの世界を行き交う一人の男……、あなた達がお探しの人物は――」 「……」  静まりかえる事務所内、相模は一人立ちあがり社長室の小さな扉の前に立ち尽くす。 「もういいでしょう。 (はざま)探偵事務所代表取締役、(はざま)社長――」 「ギィィィ――――ッ」  開かれた社長室の扉、中から姿を現したのは高級スーツに身を包む社長の姿。 「パチッ パチッ パチッ――」    力強く響く拍手の後に放たれた言葉。 「ハハハハッ、良くぞ解き明かしたな、合格じゃ」  満面の微笑を向けながら七人の依頼者一人ずつと軽く抱擁を交わす遊び人。  彼女達は小遣いだろうか? 涼子から封筒を受け取り姿を消してゆく。  昼と夜の(はざま)社長の火遊び――、全ては彼が思いついた後継者選びの試験だった。還暦を迎え第一線から退く決意をした彼は、長年右腕として共に働く相模の力量を確かめるべく仕掛けたトラップ。  彼は見事に答えを導き出したのだった。
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