<1> 神様も忙しいよ

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<1> 神様も忙しいよ

 少年が人生を嘆いていた頃、出雲大社では神々が神在月(かみありづき)の恒例会議をしていた。 「今年もたぁ〜んと集まったのう」 「さてさて、叶える願いはどれにしようかのう」  まとめ役である大国主(おおくにぬし)様が、今年は疫病の対処に忙しく、初日の会議を欠席した。  リーダー不在の話し合いは、あっちゃこっちゃ横道にそれ、やいのやいのと酒盛りに。  そんな中、懸命に働くものがいた。新参の神だ。 「偉いのう」 「頑張るのう」 「もう! 先輩方も手伝ってくださいよ!」 「馬鹿を言うでない! ワシらが休めるのは、大国主様がお留守である今日くらいしかないのじゃぞ!」 「「そうじゃ、そうじゃ〜!」」 「くっそ〜、酔っ払いめ……」
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