<1> 神様も忙しいよ

3/3
前へ
/14ページ
次へ
「おいおい、勘弁してくれよ……」  やる気を削がれた新参の神は、縁側に寝転がり、まあるい月を眺めた。  はら、ひらり。  願いの書かれた紙が、月明かりの中をユラユラゆっくり()りてきた。新参の神は寝転んだまま手を伸ばし、紙をヒョイと掴んで願いの内容を確認した。  そこに書かれていたのは、少年の切実な願い。 「こりゃあいい!」  新参の神は、飛び起きて口角を上げた。 「そうかそうか、そんなに『神になりたい』か」  にっしっし。  新参の神は、寝こける神々に深い眠りの(まじな)いをかけ、少年の元へ喜び勇んで飛んでった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加