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ケンちゃん
中に入ってみると、洋館は外から見たよりもなお薄暗く、気味が悪い。
「ねぇケンちゃんもう帰ろうよ」
僕はそう言ったのだが、ケンちゃんはそれを見て喜ぶばかり。
「さぁ霊感少年れお君は、呪われた屋敷で何を見るのでしょうか。早速突撃したいと思います」
スマホを向けて撮影しながら、実況者のように解説し始めるのだった。僕が進むのを躊躇っていると、バシッとお尻を蹴ってきて、先に進めと顎で促す。僕は大きなため息をつくと渋々中へ進むのだった。
ぎしりぎしり
洋館の中はもう長いこと掃除もされてないようで、埃は溜まり、朽ちてきているようだった。注意しないと腐った床板を踏み外しそうになる。
だがそんな中を、ケンちゃんは臆することなく進んでいった。
「ねぇ待ってよ」
ケンちゃんは僕の言うことなんて聞いてもないようで、足の歩みを緩めようともしてくれない。
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