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「ここにはな」
それどころかカメラをこちらに向けながら、ぼそぼそと話を始めるのだった。
「仲のいい兄弟がいたんだ。
弟は俺らと同じくらいの歳で、それは可愛い顔をした女の子だったらしい。
年の離れた兄はそれはもう妹を可愛がった。
……だけどある日そんな二人を悲劇が襲った。二人の仲を妬んだ両親が、兄から妹を引き離そうとしたんだ。
兄は必死に妹を守ろうとした」
ケンちゃんは何かに憑りつかれたように話続ける。
「だから兄は両親を殺し、もう二度と妹を奪われないように、とある場所へ妹を隠した」
ケンちゃんはそう言って、ぴたりとある場所で歩みを止めた。ケンちゃんが燭台を動かすと、ギッという音とともに、そこには壁がずれるようにして隠し扉が出現したのだった。
思わず怖気づき後ずさりしようとする僕。だけどその手を、ケンちゃんはがっしり握って離さない。僕はずるずると中へと引っ張り込まれるのだった。
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